「自分の人生なんかこうじゃない気がする」
そう考えるようになると、人は現状をどうにかできないかと
本を読んだり、ブログ読んだり、メルマガ読んだり
外に情報を求めるようになると思う。
実際に自分がそうだった。
本を読むと「目標が大事だ!」って書いてます。
ミッションとか使命みたいに書かれることがあります。
人は誰でも何かしら生きる意味があるんだよって
最初は自己啓発本を読んで「良いこと書いてるな!」
そう気合が入るけれども、気合は長続きしない。
目標?見つかりません。
夢?わかりません。
ミッション?使命?それ本当に自分にあるの?
そういう気持ちになってくる。
そうなると「夢や目標があるだけで勝ち組だよ」と
そうしたものが「見つからない自分=負け組」の思考になっていく。
自己啓発本って合わないと最初は効いても
だんだんと毒になっていくんですよね。
でも、それは本が悪いわけでも自分が悪いわけでもなかった。
ただ単にそういう方向性が自分に合わなかっただけ
今回は、そんな自分がようやく出会えた
「しっくりきた考え方」との出会い。
そして、そのきっかけになった一冊をご紹介したいと思います。
todo型、being型という思考法
紹介する本のタイトルは
『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』。
えっ、転職は考えてないよ?
そんなふうに思った人もいるかもしれません。
実はこの本、タイトルに惑わされてスルーするには惜しい内容です。
転職を考えていなくても、「自分のあり方」を見つめ直すヒントが詰まっている。
自己啓発本としてもかなり質が高く、読み応えがあります。

todo型とは? being型とは?
この本では、人の思考パターンを以下の2つに分けて紹介しています。
■ todo型(To Do型)
何をするか に重きを置くタイプ。
- 明確な夢や目標があり、それを実現するために行動する
- 目的達成のためには手段を選ばない
- 「〜をしたい」「〜になるために◯◯する」と考える
■ being型(Being型)
どんな状態でいたいか に重きを置くタイプ。
- 自分の「在り方」や「心の平穏」にフォーカス
- ゴールよりも過程や心地よさを大事にする
- 「こうありたい」という感覚をベースに動く
自分はbeing型だと、言われて気づいた
本では、99%の人はbeing型だと述べられています。
自分も、言われてみればまさにそうでした。
進路を決めるときも、明確な目標なんてなかった。
将来のビジョンも、何かやりたいことも特に思いつかず。
ただ、嫌な環境を避けるように、
風に流されるように選んできた感じがあるんです。
そう、being型は目的ではなく「感覚」や「状態」で選ぶ。
それは怠惰でも逃避でもなく、ひとつの思考スタイル。
そう気付くことができたのです。
やりたいことなんか無くても良い。重要なのは「状態」
2020年頃、「地の時代から風の時代へ」なんて言葉がよく聞かれました。
風の時代は、「やりたいこと」「好きなこと」を仕事にする時代だと。
目に見えないモノに価値を置く時代になると言われていました。
けれど、ここで大きな前提が出てきます。
99%のbeing型人間には、「本気でやりたいこと」が見つからない。
やりたいことやるぞ、好きなことやるぞ!と思っても
being型はまずはそれを探そうとしてしまい迷子になるはずです。
todo型が書いた自己啓発は、being型にぴったりハマらない
世の中の自己啓発本は、ほとんどがtodo型(=やりたいこと重視)の人間によって書かれています。
- 夢を持て!
- ビジョンを描け!
- ミッションを掲げろ!
todo型にとってはそれが自然。
やりたいことのためなら、多少の嘘や犠牲も飲み込める。
でも、being型(=在り方重視)の人間にとってそれは違う。
「自分に嘘をついている」という状態が、精神的にものすごく苦しい。
たとえば、悪徳企業に就職してしまい「顧客を騙すのが辛い」と感じる人。
その人は、明らかにbeing型です。
todo型なら「金のためだ」「出世のためだ」と割り切れるかもしれない。
でもbeing型にとっては、その“状態”に耐えられない。
これは、別に悪徳企業じゃない普通の会社であっても
思いのほか多くの人が抱えている苦しみです。
残業代が出ない環境や、満員電車での通勤、会社の人間関係など
心がその状況に耐えられない環境で居続けると
心身ともに不調になってしまうかもしれない。
これがtodo型なら、自分への犠牲も飲み込んで考えてる
今は辛いけど目的のために頑張ろうと。
だからtodo型には成功者が多くなります。
todo型のノウハウは参考にならない
成功者は、正攻法で夢や目標を掲げてのし上がってきた人たち。
それはそれで、すごいし尊敬もできる。
でも、being型の自分にとっては参考にならないんです。
なぜなら――
どこまで行っても、人生をかけてやりたいことが「見つからない」から。
「やりたいことがあれば自分も頑張れるのに」
「夢や目標がある人は羨ましい」
「自分にもそのうち見つかるはず」
そう思って自己啓発本を読んで触発されるけど、
出口のない迷路に入ってしまう。
目標探しって、being型にはそもそも見つからないものを探してるわけです。
でも、それもまた無駄じゃない。
迷って、探して、情報を集めて…
そういう過程がなければ、「あ、見つからなくていいんだ」という発見にも辿り着けない。
自分も、『転職の思考法』を読んで
「なんだ、やりたいことなんて見つからないのが普通なんだ」
と知った時、やっと心の迷子状態から抜け出せた気がしました。
出会うタイミングは「機が熟してから」がベスト
10年前の自分にこの本を読ませても、たぶん響かなかったと思います。
迷った経験があるからこそ、今読んで刺さった。
「もっと早く知っていれば…」とは、あまり思いません。
早すぎても思考の土壌ができていなければ、受け取れないからです。
迷う中で触れた本やブログ、メルマガの言葉たち――
それらも全部、自分を形づくる養分になっています。
ただし、ある程度まで来たら切り替えも必要。
「夢や目標がある人=勝ち組」
そう思い続けていると、毒の沼地に浸り続けることになります。
todo型ノウハウも自分とは違う世界を知る為に役立ちますが
心が腐食してしまう前に、思考を転換することが需要です。
迷った末に読むべき1冊
だからこの本は、夢や目標が見つからなくて悩んでいる人に読んでほしい。
自己啓発に触れて「やる気」は出たけれど、
結局何をしたいか分からなくて、苦しくなった――
そんなbeing型にこそ、救いになる本です。
ぶっちゃけ、全部読む必要はありません。
転職を考えているなら最初から読むのもアリですが…
第4章「ほとんどのひとに、『やりたいこと』なんて必要ない」
ここだけでも読む価値は大いにあります。
自分にとっては、まさにここが“パラダイムシフトへの扉”でした。
ズルの知恵本:禁断の世渡りハウツー!
夢や目標が見つからなくて迷っていた時に読んだ本をもう1つ紹介。
それはズルの知恵本です。

これはブックオフで買ったと思う。
何時間も店内に居て立ち読みし、カゴいっぱいにビジネス書とか色々買った記憶。
やっぱネットよりも店舗の方が
心が今求めてる本が目に入ってきやすいのだろうか?
ズルの知恵本から得られた知恵も大いに思考の土壌になっている。
その中から印象的な項目を3つ紹介します。
生まれることは屁と同じ
作詞作曲家の小椋佳氏と小説家ギタリストの深沢七郎氏の言葉が取り上げられており
それが目標や目的が見つからないbeing型には特に刺さった。
小椋佳氏は「人生の目的などというものは最初からないし、自分で作るしかない。もっと言うならば人生に意味などありません。それでも人間は生きなければならない」と述べている。
「何かをするために生まれてきた」と考えるから、探しもがき苦しむ。
だから人生が辛くなるのだ。人は人として生まれたくて生まれるわけではない。
深沢七郎氏は「生まれることは屁と同じ」と語ったと言われている。
「人は何かをするために生まれてきた」なんて誰かがでっち上げた何の根拠もない、そんなデタラメな話を信じて自分の人生を苦しくするのは辞めなさい。
何しろオナラなんだから。
ズルの知恵本:禁断の世渡りハウツーより引用
人生に目的などない、自分で作るしかない。
もっと言うならば人生に意味などない。
しかし人間は生きなければならない。
これは自分がずっと抱えていた
生きたい理由もないけど、死ぬ理由もないから
死にたくないから生きてるだけという思いと合致した。
特に何か意味ないけど、生きないとなって思って生きていたから。
そんな人間が自己啓発とか成功哲学に触れて触発されると
俺も夢や目標を見つけようってなるワケですよ
でも、being型だから見つからずに迷路を彷徨うわけです。
夢や目標、人生のミッションが必要だ!
これこそが誰かがでっち上げた何の根拠もない話だったと気付いた。
もちろん、todo型being型という思考を知ってからは
でっち上げじゃなくtodo型には合っていても
being型には合わない話なだけだとわかりました。
踏みとどまれるなら、それほど不本意な場所ではない
よく石の上にも3年とか、同じ職場で3年働けと言われてます。
この3年は我慢しろというのも、考えさせられる言葉を紹介します。
置かれた場所で咲きなさいと言うが、置かれる場所があまりにも過酷だったり
いたたまれない場所だったりした場合はどうなるのだろうか
がんばり続けても絶対に花が咲かない場所もあると思われる。咲いてもあだ花か、花が咲くどころか根腐れするだけだ。
もしも、その場に踏みとどまり、がんばれるなら
ズルの知恵本:禁断の世渡りハウツー!より引用
それはさほど不本意な場所ではなかったと言えるだろう。
自分は勤め先はBtoCの店舗店員ですが
別部署にはBtoBの法人向けサービスマンがあります。
そしてある年にBtoBの別部署に移動になったのですが
これがめちゃめちゃストレス環境で1年で辞めました。
辞める理由は1つじゃなく無数の絡み合わせだったんですが
状態を重視するbeingに合わない職場環境でしたね。
あのまま働き続けると精神ヤバくなってたかもです。
幸い、離職せず元のBtoC店舗に戻ることができたのですが
自分に合わない環境を経験したことで
盆暮れ正月GWといった長期休みないけど
閉店までフルタイムいれば残業代はちゃんと出るし、ゆるく長く働いてこれたし
不満がないわけじゃないけど、思ったより悪くないなと思えました。
真に不本意な環境を経験したことで
元の環境がさほど不本意ではないと気づけました。
幸い戻る場所がありましたが、戻る場所がなくても辞めてました。
その経験からも自分はどのような状態かを重視するbeing型だと気付けました。
おいしいご飯を食べる為に働く
あまり食に拘りがない人もいますが
大半の人はこれは美味しいと感じた経験や
美味しいと思える食べ物があると思います。
being型には人生の目標なんて見つからないけれども
あえて、何か目標を定めるとしたら…
そう考えた時に、ズルの知恵本にあったコレが目的で良いというのを見つけていました。
「人生いかに生きるべきか」という大命題。
いくら考えても結論は出ないということになった。わかることは人は生きていくのにお金がかかるので、お金を得る為に働かなくてはならない。
生活が成り立ち、命が保たれることで心は最低限の折り合いがつけられる。だから人は「ご飯を食べるために生きている」「生きるためにご飯を食べている」という答えが導かれる。
おいしいご飯を食べて「あぁよかった」と幸せに思う。
だからおいしいご飯を食べる為に働く、人生の目的はこれでいいじゃないか。
そのように思えると、心は本当に楽になる。
ズルの知恵本:禁断の世渡りハウツー!より引用
あえて人生の目標を掲げるとしたら
自分はこの方向性だなと思わせてくれた言葉。
なので今の目標は?と聞かれたら「人生を楽しむ」と答えます。
そうするとおいしいご飯を食べることも含まれ
その他の楽しめそうなことも含められる!
具体的で明確な目標ではないので
特にコレと言って馬力の出る動力源ではないけれど
少なくとも自分の心の指針にはなっています。
迷子だったからこそ、辿り着いた答え
読んだのは転職の思考法よりもズルの知恵本が先でした。
それ以外にも、いろんな本やWeb記事、ブログ、メルマガなどを読んできました。
それでも、その時はbeing型のように明確な言葉を持っていなかったので
良いこと書いてる!とは常々感じるものの
それを自分の中でどう整理すればいいのか、
どこに位置づければいいのか、ずっとモヤモヤしていた。
そこで初めて「being型」という考え方に出会って、
今まで自分が惹かれてきた言葉や感覚が腑に落ちました。
ああ、自分はこういう価値観で生きてきたんだなと。
『転職の思考法』が、自分にとってのパラダイムシフトを起こしてくれた――
そう言っても過言じゃありません。
でも、これ一冊だけでそうなったわけではないと思っています。
たくさん迷って、たくさん読んで、たくさん考えた。
そうして集めてきた断片的な情報たちが、最後の最後で
「being型」の概念によってひとつに繋がったような感覚です。
だから、being型の人に「とにかくこの本だけ読めばOK」とは言えません。
迷って、悩んで、たくさんの本や記事、言葉に触れることが、
やがて自分の思考の“土壌”になっていくからです。
そのうえで、『転職の思考法』を手に取ってみると、
迷い続けていた人には、自分のように迷路を脱する光が見つかるかもしれません。
このブログも、そんなふうに誰かの思考の“土壌”のひとつになれたら嬉しいですね。

