しまなみ海道・大三島で食べた「猪骨ラーメン」|味も背景も印象に残る一杯だった

しまなみ海道・大三島の猪骨ラーメンのアイキャッチイラスト
  • URLをコピーしました!

しまなみ海道で昼をどこにしようか探していたとき、大三島で見つけたのが「猪骨ラーメン」だった。
大山祇神社の近くで参拝の前に寄るのにちょうどいい
豚骨ではなく猪骨というジビエラーメンに興味が出る。
さらに公式サイトを読むと、店主がなぜこのラーメンを作るに至ったのかまでしっかり書かれていて、「今日はここにしよう」と決まった。
実際に食べてみると、猪骨塩ラーメンはあっさりしているのに旨味が深く
店内の空気や背景まで含めて、単なる珍しいラーメンではなかった。
これは「大三島のご当地ラーメン」と呼ぶのに相応しい一杯だった。

目次

まず味がよかった。猪骨塩ラーメンは、あっさりしているのに旨味が深い

猪骨ラーメンには塩、味噌、醤油がある。
自分が選んだのは猪骨塩ラーメンだった。

公式サイトに「イノシシの旨味を一番感じられるスープ」と書かれていたので
まずは猪骨スープそのものの味を知りたかったからだ。

猪骨塩ラーメンと猪チャーシュー丼

実際に出てきた猪骨塩ラーメンは、透明感のある通常の塩ラーメンとは違い
スープの色はどちらかといえば豚骨っぽい。
塩豚骨ならぬ塩猪骨スープ

飲んでみると、塩ラーメンらしくあっさりいける。
しかし同時に猪骨でしっかり出汁を取っているだけあって、奥に濃厚な旨味がちゃんとある。

軽いあっさりではなく旨味のあるあっさり。
猪チャーシューも脂身の少ない赤身なので油で攻める豚骨ではなく
引き締まった旨味のある猪骨らしさ。

猪骨ラーメンという名前だけ聞くと、もっとクセの強い方向を想像する人もいると思う。
でも、自分が食べた猪骨塩ラーメンはちゃんと整っていて
そのうえで普通の塩ラーメンとは違う旨味の深さがあった。

別皿のレモンで味が変わる。でも、最後のほうまで忘れていた

猪骨塩ラーメンには、別皿でレモンもついてきた。
大三島の無農薬レモンらしい。

ただ、自分はほとんど食べ終わるまでその存在を忘れていた。
それくらい、そのままで普通に美味しかった。

途中でふと「あ、レモンあった」と思い出して絞ってみると、たしかに味が変わる。
単にさっぱりするというより、スープの輪郭が少し立ち上がる感じだった。
ベースの旨味がしっかりしているからこそ、レモンを入れても弱くならず、別の表情になるのだと思う。

しかも塩も大三島、レモンも大三島。
そう思うと、この一杯はかなり土地に根を張っている。

猪チャーシュー丼も頼んで正解だった。ラーメンと一緒で完成する

この日は猪チャーシュー丼も追加した。
公式サイトでは数量限定と書かれていたけれど、平日だったこともあってか昼過ぎでも注文できた。

白ご飯の上に、低温調理のイノシシ肉がスライスでのっていて、その上に白髪ネギ。
味付けはあっさりした塩ダレで、胡椒が振られている。
豚のチャーシュー丼のような脂の強さではなく、脂身の少ない猪肉。
ジビエの臭みもなく肉の旨味はちゃんとある。
この肉と塩ダレがご飯に合う。

そして、この丼はラーメンと一緒に食べるとさらによかった。
ラーメンのスープを飲んだレンゲでそのまま食べたり
少しスープをかけたりすると、骨の旨味がご飯側にも入ってくる。
猪骨ラーメンと猪チャーシュー丼が別々ではなく、ひとつの流れになる感じがあった。

ラーメンだけでも成立しているけれど、丼まで頼むと「猪を骨と肉の両方で味わっている感」が出る。
せっかくならここまで食べたくなる。

公式サイトの「猪骨への想い」を読むと、このラーメンの見え方が変わる

味を知ったうえで振り返ると、やっぱり印象的だったのは店主のストーリーだった。

公式サイトに「猪骨への想い」というページがある。
店主がもともと東京の会社員で、東日本大震災をきっかけに食と暮らしを見直し、狩猟の道に関心を持ったことが書かれていた。
そこから瀬戸内の島へ移住し、猟師を目指す中で地元のイノシシと関わり、肉の美味しさに驚き、さらに骨の使い道に目を向けたという。

美味しいイノシシ肉がついていた骨のエキスなら、きっと旨いはず。
でも現地では埋設処理されている。
なら豚骨スープのように使えば美味しいのではないか。
やるなら地域の特産品になるレベルを目指したい。

この流れがすごくいい。
狩猟という手に職とラーメン作りがちゃんとつながっている。
そのうえで店として形にし、クラウドファンディングで開業まで持っていったというのも、いまの時代らしいと思った。

腕だけで黙って勝負する職人というより、想いも含めて仕事にしている現代型の職人という感じがする。
だから、この猪骨ラーメンはただの変わり種ではなく、「なぜこの島でこんな一杯が生まれたのか」が見えてくる。

このお店は店主の想いとクラファンの応援で作られた

店内はシンプル。でも、かなり猪にあふれている

店内そのものもかなり印象に残っている。
全体としてはシンプルで落ち着いた空間なのに、よく見るとかなり猪にあふれていた。

店の前には猪のぬいぐるみ。
店内の壁には炭で描いたような猪の絵。
ウォーターサーバーの上にも猪のぬいぐるみがいて、爪楊枝入れまで猪だった。

ここまでくるとかなり徹底しているのだけど、不思議とやりすぎには感じない。
空間そのものが静かだから、猪モチーフだけが変に浮かず
ちゃんと店の世界観になっていた。

壁には猪の絵が飾られている

頭蓋骨の展示にはリスペクトがあった。なぜかスライムもいた

店内で特に印象に残ったのは、標本のように置かれていたイノシシの頭蓋骨だった。
そこには「頭蓋くん自己紹介」というメモが添えられていて
年齢1歳半くらい、オス猪、体長1mぐらい、といった説明が書かれていた。

頭蓋骨の手前になぜかキングスライム、スライム、メタルスライムの置物もあった。
猪ワールドの店内で猪とは関係ないのに、頭蓋骨の近くにあると妙にしっくりくる。
なんだか、スライムたちが猪を倒したあとみたいにも見えてくる。

猪ワールドになぜかいるスライムたち

ほかにも、コルクボードにBOARという文字の飾り、猪の写真、狩猟生活の雑誌、イノシシのオリジナルステッカーなどがあって、ただ食材として消費しているのではなく、ちゃんと向き合っている空気があった。
ここまでくると猪にリスペクトも感じるというか
単に食材として使っているだけではないと思う。

平日13時25分ごろに入店。静かな時間に食べられたのもよかった

行ったのは平日の13時25分くらい。
営業時間は14時までで、ラストオーダーは13時45分。ちょうど終盤の時間帯だった。

先客が一組いて、自分はその入れ替わりで入った。
それからは最後まで自分だけで、落ち着いて食べることができた。

水はセルフサービスなので注文後に入れに行く

ランチのピークが過ぎたあとの静けさがあって、慌ただしさがない。
猪のぬいぐるみや頭蓋骨やスライムに囲まれながら
猪骨塩ラーメンを食べる。
あの日の記憶が強く残っているのは、味だけでなく、この空間も大きいと思う。

これは間違いなく大三島のご当地ジビエラーメンだった

ご当地グルメには、B級グルメなどで広く認知された名物もある。
でも、この猪骨ラーメンはそういうタイプとは少し違う。

大三島にイノシシがいて、美味しい肉があり、でも骨は活用されていなかった。
そこに、猟師を目指して移住してきた店主がいて、骨まで活用するラーメンを作った。
しかも地域の特産品になるレベルを目指して。

そういう条件が重なって、ここでしか生まれない一杯になっている。
猪は山の要素で、伯方の塩やレモンは島と海の要素。
その全部がひとつになっている。

だから自分にとってあの猪骨ラーメンは、ただの珍しいラーメンではなかった。
大三島のラーメンだった。

まとめ|旅で食べたくなるのは、こういう“理由のある一杯”なんだと思う

旅先で食べるものは、美味しいだけでも十分うれしい。
でも、その土地で生まれた理由まで見えてくるものは、やっぱり残り方が違う。

しまなみ海道の大三島で食べた猪骨ラーメンは、味にも店内にも店主の想いにも、ちゃんと一本筋が通っていた。
昼をどこにしようかなと探していて見つけた店だったけれど、あの日ちゃんと間に合って食べられてよかったと思う。

しまなみ海道や大三島で、ただ昼を済ませるだけではないラーメンを探しているなら、猪骨ラーメンはかなり印象に残るはずだ。
ここでしか成立しない一杯、という言い方がいちばん近いと思う。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

徳島在住。徳島・四国を中心に、実際に訪れた場所や神社仏閣、食べたもの、買って使ったもの、観た作品の感想を、自分の記録として書いています。

目次