静かに始まった小豆島の一日目。
昼食難民の影がじわじわと忍び寄っていた。
そんな旅のなかで出会ったのは、空から舞い降りた氷の粒──。
雰囲気の変化が重なるこの午後、旅は一層“孤独のやさしさ”に彩られていく
🏞 オリーブの香りと、午後の風車
「そろそろ何か食べられる場所を」と、次に目指したのは小豆島でも有名な観光地──道の駅『オリーブ公園』。
途中、オリーブ園に立ち寄ったものの、そこはオリーブ公園ではなかった。
後で調べるとオリーブ園にもレストランはあったが
そのレストランも15時で閉店だったようで、どのみち食事はできなかった。
改めて辿り着いたオリーブ公園でも、併設カフェ「オリヴァス」は営業終了。
けれど、食事には縁がなかったとしても、この場所にはまた別の魅力があった。
道の駅らしさがない雰囲気の道の駅。
オリーブの木はあるが、よくある農家の特産市場みたいなのは見当たらない。
オシャレ感のある道の駅。
お土産館とホールは内部で繋がっているが入口は2箇所ある。
ホールには彫刻があり、横の通路には貸出用の魔女のほうきがある。

園内にはオリーブの木々が並び、鼻を抜ける風がどこか香ばしい。
「これがオリーブの匂いなのか」と思いながら散策。
初日なので、フェリーで見かけた一人旅の男性の姿も確認できた。
こちらもソロで道中に魔法の扉や神社などを見て回り
丘の上に見える白い風車を目指して歩く。

そしてその時──
空から、バラバラと音を立てて“雹”が降り始めた。
🌬 雹と静寂と、誰もいない風景
風車のまわりの芝生は一面うっすらと白く染まる。
まだまだ2月油断はできない。

コートのフードを被り、風車のそばに立つ。
風車に防げるほどの屋根はないが、それでも少しは遮れる存在にはなりそう。
ただ、アウターに当たる雹の粒が旅のリアリティを際立たせていた。
雹は通り雨のように長くは続かず数分で止んだ。
その変化も含めて、なんだか“物語の中にいるような気分”だった。
晴れている時はまだ他の観光客も多くいたが
雹により当たりから人が少なくなった。
そして、自分だけがそこにいた。
次回につづく──灯台と、風車の夜に見えたもの
次回は、島の東へ。 静かにたたずむ大角鼻灯台と、ライトアップされた夜の風車。
食事難民をかろうじて脱出するネギ豚丼との出会い、 そして誰もいない道の駅オリーブ公園で迎えた静けさに抱かれるような夜を記録します。
日が落ちても、旅の余韻はまだ続く──🌧