午後の旅路は、静寂を抱く社叢へと進んでいきました。
観光地としての喧騒から離れ、少しずつ“内なる時間”へと移ろっていく。
そんなひとときを記録します。
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🌿 皇子神社 社叢と、囲炉裏のある静かな拝殿
ダイダラウルトラボウを後にし、次に訪れたのは国指定天然記念物・皇子神社 社叢。
到着すると、周辺ではなにやら大掛かりな工事が行われていた。
もしかしたら次なるアート作品の準備かもしれない──と、そんな想像がよぎる。
その日は重機なども動いていなかったので真相は不明だけれど。
工事現場を横目に王子神社の鳥居へ向かう。

階段を登り、見えてきた社殿。
戸を開けると、靴を脱いで上がる仕様。
まるで誰かの家に招かれたような感覚に包まれる。
室内には囲炉裏があり、お賽銭箱は床に埋め込まれた形。
こうした様式の神社は初めてで、ひときわ印象に残った。
正座をして、しばし静寂に身を置く。
情報が常に流れ続ける現代だからこそ、何も“入ってこない”時間がどれほど貴重かを実感する。
この場所が天然記念物に指定されているのは、建物自体ではなくこの社叢一帯の自然環境なのだという。
西側の海岸に出てみると、波がやや荒く、泳ぐには適さなそうだった。

この近くにはアート作品『家ヤドカリ』もあるらしい。
だが、他にも回りたい場所が多いため今回はスキップ。
いずれまた機会があれば家ヤドカリに会ってみたい。
🚗 三都半島を北上し、池田の桟敷へ
帰路は、ダイダラボウを見た大通りではなく、三都半島の左側を北上するルートへ。
ナビが避けていた理由がすぐにわかった。
路面状態はやや荒れており、車一台分ほどの細道。
ただ、対向車に出会うことはなく、走ることができた。
こういうのがあると小豆島一周感が強まる。
そのまま進んだ先に、次の目的地「池田の桟敷」が現れる。
初日の道の駅ふるさと村に行く道中で見た時は空き地としか思ってなかった。
しかし改めてGoogleMAPで調べてみるとちゃんとした名所だったと知る。
最初は軽く写真だけ撮って通過するつもりだったけれど──
“一段ずつ景色が変わる”という説明を見て、登ってみようという気になった。
段を一歩ずつ踏みしめていくと、徐々に視界が広がっていく。
海、港、フェリーの姿──

そして、一番上に辿り着いたとき、ふと思った。
ジャンプではここまで来られなかった。
地道に登ってきたからこそ、たどり着けた景色だった。
人生もきっと同じ。
飛び道具や必殺技に頼らず、一歩ずつ積み重ねていく歩みの尊さと大切さ。
それをこの場所は静かに教えてくれた。
次回につづく──江洞窟の胎内、そして夕暮れの小学校へ
次回は、岩の胎内に祀られた神秘──江洞窟、 そして、夕陽の中で出会った戸形小学校跡をめぐる記録をお届けします。
2日目も終盤に差しかかり、土地と、自分自身との対話が深まっていく──🌇
